☆エリスの備忘録

個人的に読み返すための備忘録。一応公開用。

🔷寺山修司「ポケットに名言を」2

国破れて山河あり
城春にして草木深し
杜甫「春望」


俺達はきよらかな光の発見に心ざす身ではないのか。
――季節の上に死滅する人々から遠くはなれて。
アルチュール・ランボー「地獄の季節」


千載具眼の徒を竢つ
伊藤 若冲


地球が二つに割れればいい
そして片方は洋行すればいい
すれば私はもう片方に腰掛けて
青空をばかり――
中原中也「この小児」


貞淑、それは虚栄である。それは形を変えた自尊心である。
アンドレ・ジイド「ワルテルの日記」


忘れられた人は誰か。清廉な静かな徳のある家庭的な人間だ。
ウィリアム・サムナー「忘れられた人」


精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ。
三島由紀夫美徳のよろめき


青春は例外なく不潔である。人は自らの悲しみを純化するに時間をかけねばならない。
吉本隆明「初期ノート」


「忘却とは忘れ去ることなり。
忘れ得ずして忘却を誓ふ心のかなしさよ」
菊田一夫「君の名は」


十で神童、十五で才子、二十過ぎれば、ただの人。
俚言


ふるさとは遠きにありて思ふもの
そしてかなしくうたふもの
帰るところにあるまじや
室生犀星


視よ、蒼ざめた馬あり、これに乗る者の名を死と
いい、黄泉これにしたがう…。
ヨハネ黙示録


心せよ亡霊を装ひて戯れなば、亡霊となるべし
カバラ戒律


悪魔というものが実際に存在せず、ただ人間が創ったものだとすれば悪魔は人間そっくりに創られているにちがいない。
ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟


安楽なくらしをしているときは、絶望の詩を作り、
ひしがれたくらしをしてるときは生のよろこびを書きつづる。
太宰治「晩年」


ひょっとしたらこの宇宙は、何かの怪物の歯の中に
あるのかも知れぬ。
アントン・チェーホフ「手帖」


政治を軽蔑するものは、軽蔑すべき政治しか持つことが出来ない。
トーマス・マン魔の山


キューバの勝利は、叙事詩の勝利だった。
エルネスト・チェ・ゲバラ「遊撃戦論」


死んだ女より
もっとかわいそうなのは
忘れられた女です
マリー・ローランサン「鎮痛剤」


かの女は森の花ざかりに死んでいった。
かの女は余所にもっと青い森のあることを知っていた。
ギイジャルルクロオ「花ざかりの森」


しばしば勇気の試練は、死ぬことではなく生きることだ。
アルフィエリ「オレスト」


もし世界の終りが明日だとしても、私は今日林檎の
種子をまくだろう。
オルグ・ゲオルギウ


なぜ、人間は血のつまったただの袋ではないのだろうか?
フランツ・カフカ


まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの家根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気です』
萩原朔太郎「猫」


いびつな男がおりました
彼はいびつな道を行きました
いびつな階段のところで
六ペンス銀貨をみつけました
彼はいびつな猫を買いました
猫はいびつなねずみを捕まえました
そしてみんないっしょに
いびつな家に住みました
マザーグース「童謡」


花も嵐も踏み越えて
行くが男の生きる道
泣いてくれるなほろほろ鳥よ
西条八十「旅の夜風」


一刀両断帝王頭 落日光寒巴里城
明治四一年赤旗事件の際の牢屋の落書、フランス革命をよんだもの


一人を殺せば犯罪者だが、百万人を殺せば英雄だ
チャップリン「殺人狂時代」